留学同大阪ブログ

在日朝鮮人大学生・専門学校生の団体です。在日コリアン学生、歴史、文化、教養

研究誌 在日朝鮮人運動への提言 について②(2019年度版から)

在日朝鮮人運動への提言 青年学生運動の視点から」

(2020年3月20日発行 500円)

 

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前回の記事に続き、2019年度の研究誌について書きます。

今回は

2.現在の在日朝鮮人運動における「メンバーシップ」に対する批判的考察

について

 

ー 留学同大阪卒業文集「留学同と私」の分析を通じて ー

という副題。

題材がまず面白いです。

 

日常の活動の中での疑問点・反省点から、自分たちの運動を科学し、社会運動について分析する。

『社会運動の社会学』、『社会運動と若者-日常と出来事を往還する政治』、『社会運動のサブカルチャー化』など、興味深い文献の分析がもととなっています。

 

 

問題意識として、

「留学同活動を通じて、日本学校出身者と朝鮮学校出身者との間で、留学同活動へのアクセスのハードルの高さの違いを感じてきた」とあります。

 

運動の自己認識、自己反省の問題。自分の姿をはっきりとさせ自分の口で説明するという作業を疎かにしてきたのではないだろうか。

「民族」というものの内実について、意識的にも無意識的にも「当然のもの」として、または自分たちの経験にもとづくものとして扱い、その概念・認識を追究してこなかったのではないだろうか。

それが運動の衰退の原因となってはいないだろうか。

 

 

以下、本文より引用

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「メンバーシップ」とは何か。それは私たちが共有していると想定していた民族と実際に共有していた(カギかっこ付きの)「民族」とのズレが「メンバーシップ」の実態なのではないか。

 

「メンバーシップ」が存在する/しないことが問題なのではなく、少なくともそれがあることに気づいていないということが問題なのではないか。

 

無意識の排除であってはいけなく、意識的な排除がよいというわけではないですが、それを認識しているということが大事だと思います。

 

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前回の記事にひきつけると、「民族」というものの中身・イメージはともかくとして、「民族経験」というものは時代によって変わるということがいえます。

同胞集住地区の存在が少なくなり、コミュニティの形や活動方法も変わる。

 

極点にいうと、現在の在日朝鮮人運動にとって、「民族経験」が朝鮮学校をはじめとする民族教育の場が大部分を占めているのではないだろうか。朝鮮学校を通して民族をイメージし、民族のイメージが朝鮮学校によってのみ規定されている。そのような状況があるのかもしれない。

 

それだけ在日朝鮮人運動の幅が狭められ、抑圧されている。

それはもちろん、日本政府の朝鮮民族抹殺政策に大きく起因する。

さらに、だからこそ、日本政府は「最後の砦」となっている朝鮮学校に対して、これでもかというほどの弾圧・暴力を加える。

 

それを克服するカギはどこにあるのか。

本稿が、学ぶことと認識することからはじめようという呼びかけとしてとらえられるべきだと思います。

 

 

 

*かなり端折っています。より詳しくは是非とも本誌を手にとってご覧ください。

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