留学同大阪ブログ

在日朝鮮人大学生・専門学校生の団体です。在日コリアン学生、歴史、文化、教養

民族性の喪失=従属 【在日朝鮮人運動への提言 ―「ウリマル」「祖国」「日本」―】 雑感②

前回の続きです。

 

前回、私たちが「祖国統一」を語ることばを持たないという問題提起をしました。

それは、経験・機会・感性を奪われているとともに、自分たちがすすんで放棄してしまっているのではないかと。

【在日朝鮮人運動への提言 ―「ウリマル」「祖国」「日本」―】 論文完成/対外講演会終了後、雑感① - 留学同大阪ブログ

 

 

そうした、自己点検・総括を無くした結果、そもそも「ことば」を持たなくなってしまった。これこそ、「ウリマル」のテーマにつながる部分だと考える。

 

 自分たちが「民族」、「社会」、「世界」「人間」を語ることばを持たない。人間性を語る、人間の根本、尊厳、理念を語ることばをもたない。

 日常の中に中身のあることばがない。言いかえれば、知性がない。思想がない。信念がない。軸がない。世界観にもとづいた人生観がない。また、それを育む社会がない。学ぶ機会と可能性、考える機会と可能性を奪われている。その場だけの、自分だけの安楽にからめとられ、自らその地獄に笑いながらすすんで飛び込んでいく。

 

 ゆえに、「資本」の論理にからめとられる。資本の従属物と化す。ビジネスシーンで役に立つ、お金儲けにつながるという「ことば」だけが必要とされる。

 また、中身のない情報、消費のみを目的としたことばがマスメディアを通じて氾濫する。

 在日朝鮮人運動の歴史と伝統、同胞社会など無意味なもの、無価値なものという意識を植えつけられる。理念を熱く語ることが冷笑され、キャラ付けされ、相対化と市場化のもと殺される。

 

 資本の論理にからめとられるということと、在日朝鮮人がウリマルから離れていくということは連動する。同時に、歴史性を帯びた「ウリマル」ではなく、正しい「韓国語」を身につけようとする動きにもつながる。それは「ウリマル」に関する論文で述べられていることである。

 

それは、

①そもそも日本の権力によって歴史性・政治性をおびた「ウリマル」は疎まれ消し去られようとしているため、

②米国を中心とした世界資本主義秩序の中で、「朝鮮」ではなく「韓国」が求められるため(なぜなら、朝鮮は世界資本主義にアンチをとなえ自主をかかげる一方、韓国は経済的政治的軍事的に米国や日本の従属化にあるため)、

という理由からいえるだろう。

 

 朝鮮民族にとって、目の前に存在する資本主義権力とは何か? 在日朝鮮人の自主性、自主的民族教育を阻害する力は何か?

 

 それは、米帝国主義であり、日本帝国主義であり、それらに従属する大韓民国権力である。大韓民国権力は、植民地支配期の親日派、解放後の親米派に根を持ち、現在も権力の中枢を占める。文在寅政権も決してそこから離れたものではない。そして、米帝日帝、それに従属する韓国政府こそ、朝鮮半島を分断させた張本人である。

 

 在日朝鮮人が「ウリマル」から疎外され、みずから「ウリマル」を疎外してしまうことと、日本の植民地主義の問題・朝鮮半島の分断の問題は直結する。私たちは朝鮮民族の自主独立を求めるのか、資本主義・帝国主義勢力に従属するのか、常にそのはざまに生きている。

 

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 つづく

 

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