緊急事態宣言② -「人間」という視点の欠如-
大阪でも来週から宣言が発令されそうです。
ニュース記事を読みながら考えることを書きます。
人間の尊厳 という視点。
それを基軸にした生命、生活という視点。
決定的に欠けていると思います。
「飲食店が…」「補償額が…」
一番に考えられるべきは、生活困窮者です。福祉です。
また感染の危険性の高い労働者であり不安定な雇用を強いられている労働者です。
補償や対策という場合、そこからスタートするのがまっとうな考え方です。
その中で、医療・福祉従事者や飲食店が議論も当然議論にあがるはずです。
「人間」に対する観点がない。
本来はすべての人々の生命・生活・尊厳の問題です。
人間からスタートし、個人・家庭・団体・商店・企業…といくべきです。
論点が意図的にずらされています。
今回は飲食店が狙い撃ちに。
前回はパチンコ業が特に的となりました。
メディアも大々的に飲食店の補償や営業の問題を取り上げます。
政治家や役人、メディア関係者などはエリートばかりで問題の根幹まで見えないのでしょうか。意図的に無視しているのでしょうか。おそらく両方でしょう。
いずれにせよ、さらに広く社会的な議論を巻き起こすことを意図的に抑制しているのです。
資本の手先ゆえに当然そうなる
現政権も地方行政も、考えているのは管理統制です。
日本政府の地方行政も、「人が生きる」という観点はありません。
この中でどのように資本の力を強めるか、どのように騙して後の大きな利益を得るか。 そもそもそういった政策を実行してきた勢力です。
もちろん口では「人の生命」を語ります。
しかし、内実は何もない。
やることは見事に小手先のみです。
新自由主義政策を突き進んできた、その資本の手先と化した政治家が、「人間の尊厳」という観点をもっていると考えるほうが難しい。
そして、何かをやり玉にあげ、論点を矮小化しそこに集中させること、市民の目をそちらのみに向けることはこういった勢力がこれまで散々行ってきたことです。今回もメディアも加担しながらその手法はドンドン使われるでしょう。
問題は資本主義
資本は人間を単なる労働力商品としてのみ扱います。例外はありません。例外は淘汰されます。搾取の対象としかとらえません。資本主義は止まりません。自分でブレーキをかけることはありません。必然的に暴走します。そしてその暴走がさらに加速しているのが現代の資本主義=新自由主義です。
新自由主義政策のもと、医療を市場原理に染め上げ、保健事業を切り捨て、福祉事業を軽視し続けてきたわけですから、必然の帰結です。
さらに、それは世界的な問題です。アメリカ・イギリス・ヨーロッパ・インド・ブラジルはじめとして、感染者が爆発的に多い国のほとんどは経済最優先の新自由主義政策の先頭を走ってきた国々です。
つまり、資本主義システムである以上、「人間の尊厳」という観点は生まれえません。
その最先鋒の政治家たちが登用され支持されているのが今の日本の政治です。
メディアもそれに加担します。
問題をより深く掘り下げ、より広く見渡すと、根幹に資本主義の問題があるということが明白になるため。
ゆえに、「パチンコ屋」「飲食店」と特定の業種(なおかつ立場の弱い)のみに議論の焦点をあて、問題の根本には届かないように操作しています。
問題の根幹まで、つまり資本主義構造を揺さぶるようなものは生まれません。
そこまでタッチすると干される、弾圧される仕事を奪われるからです。
同時に、まっとうな労働組合に対する弾圧は近年徹底的に行われ、労働者の基本的権利は骨抜きにされています。問題は連動しています。
昨年来の新型コロナウィルスの事態は、そういった観点を問い直す契機であるはずです。「労働」の意味、「社会」の意味、人間が「生きる」ということ。
キーワードは、「社会」「人間」「尊厳」だと思います。
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