<無償化裁判>報告会 大阪福島朝鮮初級学校にて
2017年9月28日(木)、大阪福島朝鮮初級学校にて行われた、
福島学区<無償化裁判>報告会に、留学同の支部学習会の一環として参加しました。
その中から、講演会についてのまとめを載せます。
大阪産業大学、藤永先生の講演より
戦前、戦後の日本の国家権力が朝鮮人に対して加えてきた弾圧の歴史を学んでいたが、自分は、民族差別が何たるかをきちんと理解していなかった。
まず、判決がどのように不当なのかを理解する必要がある。
・広島判決「ヘイト判決」
広島地裁は、証人尋問を認めず、判決でも原告の請求をすべて却下、棄却。
規定13条適合性の判断が全面に
→ 「北朝鮮や朝鮮総聯」の「不当な支配」を受けた朝鮮学校に就学支援金を支給すれば、不正受給される可能性がある。 という理由。
なので、朝鮮高級学校不指定は文科大臣の「裁量の範囲」
← 根拠のない「疑い」によって、制度から除外した。
・全面勝訴の大阪判決
大阪朝鮮高級学校への不指定処分を取り消し、規定ハに基づく指定を命じる。
<<規定ハ削除(不指定の理由①)>>
下村文科大臣が、「教育の機会均等の確保とは無関係な外交的、政治的判断に基づいて」削除 → 裁量権を逸脱、濫用 → 違法、無効
<<規定13条の適合性(不指定の理由②)>>
就学支援金の支給は生徒等の「受給権」に基づく(=司法救済の要請は高い)
文科大臣による「不当な支配」の判断は、教育に対する行政権力の介入
→ 適合性の判断について、文科大臣の裁量権は認められない
支援金が不正に使われるという、「疑念を生じさせる特段の事情がない」
・結論ありきの東京判決
原告弁護団は、規定ハ削除が「政治的外交的判断」によることを綿密に論証
しかし、判決は「不当な支配」論に与し、文科大臣の判断を適法と認める
明確な根拠を示さないまま、規定ハ削除については「判断する必要がない」
裁判所が、権力の顔色を窺い、結論ありきの政治的理由で判決を書いた。
「朝鮮学校に渡せば授業料に充当されない」という、まさにヘイト判決。
→ 根拠もなく、「朝鮮学校にお金を渡せば他のところに流用する」と勝手に決めつけた。(不当な支配を受けている「疑い」があるという理由のみで。)
「朝鮮人は信用ならない」という考え、「朝鮮人は潜在的犯罪者である」という思想につながる植民地主義丸出しのヘイト判決。
広島判決に続き、裁判所が、朝鮮学校・朝鮮人に対して、ヘイトスピーチを繰り広げた。
※そもそも「不当な支配」規定とは?
【教育基本法 第16条 (教育行政)】
教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。〔後略〕
この規定は、戦前の軍国主義教育に対する反省から生まれたもの。
日本の国家権力による支配を受けないようにということが想定されている。そもそも高校無償化制度の趣旨からして判断材料となるはずのない規定。
この規定を用いて不指定処分の根拠とすること自体が、不当な支配であり、行政の不当な介入というべきである。
終わりに
補助金裁判控訴審への闘い。権力がなりふりかまわず作り上げた、でたらめな判決をくつがえす闘い。これから無償化判決にもさらに攻撃を加えてくる状況で。
歴史に誇れる裁判闘争を繰り広げなければならない。
このような恥ずべき判決に屈してはならない。
この裁判闘争は、後世に残り、歴史となる。自分たちこそ恥じのない闘いを。
以上、講演まとめ(文責:黄貴勲)
報告会に参加して、改めて、まず、自分たちが学ばなければならないと感じました。
裁判の内容についてはもちろん、ひいては在日朝鮮人の民族教育の意義について。
そして、自分たちが何をしなければならないのか。どこに立たなければならないのか。
自分たちの思想と行動が問われていると思います。
朝鮮学校の問題・私たちの民族教育の問題は、在日朝鮮人の存在・尊厳の問題であり、自分たちの社会と未来を創れるか、どのようにするのかという問題だと思います。
(黄貴勲)