留学同大阪ブログ

在日朝鮮人大学生・専門学校生の団体です。在日コリアン学生、歴史、文化、教養

祖国統一事業に決起する大阪同胞青年学生連席会議①

今年度、留学同大阪では、祖国統一運動に格別な力を入れ、学習・実践をしていきます。

特に、朝青大阪とともに、年間を通して活発に活動を繰りひろげていきます。

4月22日(土)、その出発として、「祖国統一事業に決起する大阪同胞青年学生連席会議」という行事を行いました。

 

その中での講演の内容から。

「祖国統一運動における在日同胞青年学生の役割 ~韓国民衆に連帯する在日同胞の闘いを振り返りながら~」というタイトルで、韓統連青年学生育成委員長の金昌五先生に講演していただきました。

 

「在日同胞の運命と祖国の運命は深く結びついている」

というはじめの提起と

「私たちの人生が祖国の運命を左右する」

という結びが非常に印象的でした。

 

解放後の歴史から、1960年の4月革命(4・19革命)、光州民衆抗争、汎民族大会、6・15~10・4と、韓国の歴史とその中での在日朝鮮人運動のつながり、役割について話していただきました。

 

南の民衆と連帯する在日同胞の闘いの歴史には、4月革命以降の在日同胞の運動、朴正熙軍事独裁に反対する闘争、光州民衆抗争に連帯しその精神を継承する運動と、常に祖国の運動・状況と連関を持って闘ってきた歴史があり、南北首脳会談と6・15宣言、10・4宣言もそうした闘いの中で勝ち取ったものである。そういった話を、自身の経験にそくして話され、非常に論理的かつ情熱的な講演でした。

 

特に、自分たちが生きていない1970年代の朴正熙時代、南の運動と連動し韓国政治に大きな影響を与えた韓青、韓民統の運動。「反米連北」、自主・民主・統一への道へ進む教訓となった1980年の光州民衆抗争の経験と意義など、観念的な理論ではなく、具体的な事実と運動の成果にそくしながら、「在日同胞は祖国統一の確固たる主体」であるということを話され、これから運動を繰り広げていくうえで、力をもらう熱く熱い講演でした。

 

ほとんど実行されていない10・4宣言を具体的に実践していくことがこれからの朝鮮半島の近い未来であるという明るい展望も示され、自分たちがその担い手としてあらなければならないという想いを強くしました。

(黄貴勲)

コリアン学生チャレンジフォーラム2016 報告①

12月17日(土)に

東京にて、「コリアン学生チャレンジフォーラム」が行われました。

全国から同胞学生が集まり、

キャリアアップセミナー、レベルアップセミナー、チャレンジ企画と、盛りだくさんの内容でした。

 

まず全体基調講演にて、(株)ソフトサーボシステムの梁富好先生の貴重なお話を聞き、

 

その後、レベルアップセミナーでは、

社会保険労務士の方による、労働に関する講座

公認会計士の方による、お金の使い方に関する講座

③海外経験の体験談

インターンシップについての講座

⑤デザインセミナー

⑥プレゼン力UP講座

と分かれ、それぞれ専門的な事や技術的なことを学びました。

 

午後のキャリアアップセミナーでは、

①在日朝鮮人運動の第一線で活躍する方々

②同胞企業で活躍する方々

③日本・海外で起業する在日コリアン

④企業で活躍する在日コリアン<エンターテイメント>

⑤企業で活躍する在日コリアン外資系ITベンダー>

⑥芸術分野で活躍する在日コリアン

と分かれ、具体的な生き方や活動、進路選択・仕事のことについて学びました。

 

そして、その後、チャレンジ企画として、

①コリアン学生の「知」を追及する論文募集

 -テーマ「現代日本の排外主義と在日朝鮮人

 -テーマ「祖国統一と在日朝鮮人

 -自由論文「朝鮮半島在日コリアン

②在日朝鮮人運動を活性化させる企画書

 -「日朝友好を促進させる企画書」

 -「祖国統一運動を高揚させる企画書」

在日コリアン学生のビジネスプラン募集

在日コリアン学生の文学作品募集

在日コリアン学生の美術作品募集

在日コリアン学生のチョゴリデザイン募集

 

と、一日盛りだくさんかつ学生団体らしい内容で行われました。

在日コリアンとしての尊厳・民族性・主体性を確立したうえで、堂々と世界にはばたくべきだという基調講演での話が印象的でした。

色んな先輩方の話を聞きながら、

学生時代に、自分の生き方を深く考え、そのうえで経験や技術を磨くことが重要ということを改めて感じるセミナーでした。

 

また、同胞の先輩方の熱い気持ちと、同胞社会・日本社会・世界に出て活躍されている姿から、力をいただき学ぶことの多かった一日でした。         (黄貴勲)

 

より具体的な内容はホームページを参照ください。

http://challengforum2016.wixsite.com/rhtchallenge16

民族教育を守る闘い

2010年度に高校無償化制度が施行されてから6年以上過ぎ、7年目も終わろうとしている。

改めて、この間の動きや運動について学ぶ機会がありました。

大阪での無償化適用を求める裁判と、補助金の支給を求める裁判の原告である、大阪朝鮮学園の理事長の話を聞きました。

 

大阪では、

補助金不交付処分取消を求める裁判(補助金裁判)は2012年9月20日提訴、

高校無償化適用を求める裁判(無償化裁判)は、2013年1月24日に提訴。

これまで、補助金裁判は、20回の口頭弁論が行われ、

無償化裁判は、途中に進行協議(当事者双方のみの協議)を入れながら、15回の口頭弁論が行われました。

証拠調べ期日として、証人尋問も行われ、原告側(朝鮮学園側)は研究者、保護者、卒業生、教員(または元教員)、学園理事長が証言台に立ち、被告側は補助金裁判において当時の大阪府大阪市の担当者が立ちました。

 

どちらの裁判でも、国や大阪府大阪市側には「植民地支配責任」や「人権」などという観点は一切なく、政治的・外交的理由をもって朝鮮学校を潰そうとしているということがはっきりと見えています。

そのために、朝鮮総連との関係や朝鮮民主主義人民共和国との関係を問題視し、「不当な支配」という、他の外国人学校や私立学校とも整合性のとれない、理由にもならない理由を持ち出し、証人尋問では傍聴席で笑いのおこるようなくだらない質問を根掘り葉掘り聞くという始末です。

 

国際人権条約上の義務でもある、全ての子どもの学ぶ権利の保障を目指して実施された高校無償化制度が、一部のマイノリティを除外し差別するという結果になっている現状。

 

高校無償化制度実施から7年度目、そもそも差別的であると指摘されていた補助金も停止され、どの学校現場も極めて困難な状況にあることなど、胸の痛い話を聞き、活動の意義を再確認させられました。

 

さらに、この裁判だけを見ても、4年以上かけて行われており、これからも続くことが予想される中、自分たちに何ができるのかを考え、具体的に実践していく必要があると思います。

 

そもそも、植民地支配責任としても、憲法上・国際人権法上も、当たり前の権利として保障されるべき民族教育の権利が全く保障されないまま、自分たちの力で創り発展させてきた歴史に学び、同時にこの不当な現状を徹底的に批判しながら、留学同でも活動を続けていきたく思います。

 

次回期日

補助金裁判 2017年1月26日(木)13:30 判決!!

無償化裁判 2017年2月15日(水)15:00 結審(その次が判決)

9月の学習会③ 世界の歴史 -大航海時代

学習の9月。

大航海時代から、帝国主義形成までを学びました。

 

大航海時代とは、15~16世紀にかけて、ヨーロッパ諸国による新航路や「新大陸」の発見の時代を指します。

長い歴史の中で、「近代」への移行の出発点といえるでしょう。

始まりは、ポルトガルとスペインから。両国の覇権争いの時期でもありました。

 

大航海時代の要因として

①ヨーロッパにおけるアジア知識の拡大

②遠洋航海術の発達

③香辛料需要の増大

レコンキスタ(キリスト教徒によるイスラームに対する国土回復運動)の完成

があげられます。

 

インド航路、アメリカ大陸への到達と、続き、その結果、ヨーロッパにおいて商業革命ともいうべき変化をもたらします。

 

大航海時代は、日本学校での中学・高校の世界史の授業などでは、大きな変化の時代として重要視され、「面白い」時代という印象さえあります。

 

しかし、大航海時代以降、ヨーロッパにおけるイスラムの排斥、アフリカ人の奴隷化、アメリカ大陸侵略(先住民大虐殺)、アジア侵略航路の確保、三角貿易という略奪的貿易構造という今日の世界情勢に密接につながる巨大な暴力的事象が噴出しました。

 

ヨーロッパ内の競争や勢力争いを中心に描かれ、より大切なものが抹消されていく。

(むしろ、ヨーロッパは略奪構造を作るうえでは協力的な関係にあった。)

それは、後の日本による朝鮮植民地支配という暴力の歴史を消そうとする動きと連動していることでしょう。

 

例えば、世界史の中で偉人視される「常識破りの冒険家」コロンブスは、アメリカ先住民の立場からすれば、自分たちを大虐殺したヨーロッパ人の象徴といえるでしょう。

 

今日においても、軍事的・経済的な支配/被支配の現状があり、被支配地域から奴隷制奴隷貿易についての追及があり、黒人に対する差別や暴力があり、決して遠い昔の歴史として片づけられない問題です。

自分たちがどのような世界・社会を志向するのかが問われる、極めて現在的な問題といえるでしょう。

(黄貴勲)

9月の学習会② 世界史を見る

学習の9月、第二弾テーマは、「世界史」。

 

筆者が高校時代に習った世界史といえば(2年間わりと真剣に学びました。)、

今から考えれば、大国中心、欧米中心で、ひたすら暗記の求められるだけのものでした。

 

アフリカの歴史、中南米の歴史、また朝鮮の歴史などはほとんど印象になく、

「試験に出ない」という理由でほとんど飛ばされていたと思います(そもそも教科書の記述も極めて少ない)。

特に、アフリカ・中南米の歴史と言えば、「スペインが支配した」とか、「イギリスが支配した」とか、「フランスが支配した」とか、「アメリカの裏庭」とか、欧米中心に説明されていました。

まるで、固有の歴史や文化を持たないかのように。

アフリカに関しては、「暗黒大陸」とか「暗黒時代」なんて表現も覚えた記憶があります。そんな表現ができてしまう腐った感性で教育がなされている現状。

 

今から考えると、本当にくだらない歴史の授業でした。

ただただ点数を取るためにひたすらヨーロッパの歴史を覚えていた時間を、朝鮮や他のアジア・アフリカ・中南米の植民地解放闘争の歴史を学ぶことに回したかった。

そこには、歴史を学ばない、歴史から学ばせない権力の意図があることでしょう。

歴史というもの自体が、ドンドンと俗化・無用化されているように思えます。

 

もっと見るべき歴史があるということに気付いたのは、留学同活動の中で、いきいきとした朝鮮史を学んでからでした。

 

留学同大阪では、そのようなくだらない支配の歴史ではなく、奴隷制帝国主義・植民地支配に対して、民衆がどのように対したのか、そして抵抗したのかという点に注目し、いきいきとした民衆の歴史を学べるような場を作りたいと思います。

 

「戦後日本の教育の枠組みの中で自己形成してきた私が、高校までに教わった朝鮮史の知識は、まったく乏しいものだった。…中略… 断片的なくせに、弱弱しく、ものがなしく、独自の個性や学ぶ価値のある文化をもたず、たえず強国に突き動かされており、同乗の対象とはなりえても、敬愛の対象とはなりにくいようなものだった。 

…中略… そこに、過去も現在も、朝鮮史の真の姿が国民に見えることを不都合とする日本の支配権力の意図が働いており、そのような意図から作られた歴史観が国民によって自覚的・無自覚的に再生産されてきた結果であると、気づかされてきた。 

…中略… はっきりといえることだが、朝鮮史はそのようなものとはちがう。朝鮮民族には、中国とも日本とも異なる独自の文化伝統があり、しばしば容易ならぬ外圧にふれながらも貫かれてきた力強い社会発展史がある。そして、その発展を基底で支えてきたのは、単なる英雄的指導者の力ではなく、ユニークな個性と活気に充ちた人間性をもって日々を生き続けてきた朝鮮民衆総体である。」

梶村秀樹朝鮮史講談社現代新書 より)

(黄貴勲)