朝鮮学校無償化裁判の意義と今後の課題① 高校無償化からの朝鮮学校除外の経緯
アンニョンハシムニカ!
2020年11月21日、大阪にて「朝鮮統一支持 第38回全国集会」が行われました
そこで行われた講演の内容について、数度にわたり書きたいと思います。
(1)「朝鮮学校無償化裁判の意義と今後の課題」
(2)「朝鮮半島の南北をめぐる認識について」
(3)「朝鮮半島の非核・平和・統一の実現と朝日国交正常化について」
と、それぞれ濃い講演が行われました。
まずは、(1)「朝鮮学校無償化裁判の意義と今後の課題」について、整理します。
今回は、
①高校無償化裁判の現状、高校無償化法の構造と不指定の経緯、について
高校無償化裁判の現状
愛知裁判(国賠訴訟):地裁、高裁、最高裁、いずれも敗訴判決
大阪裁判(行政訴訟、国賠訴訟):地裁全面勝訴、高裁、最高裁、いずれも敗訴判決
広島裁判(行政訴訟、国賠訴訟):地裁、高裁敗訴判決、現在最高裁へ上告中
福岡訴訟(国賠訴訟):地裁、高裁敗訴判決、現在最高裁へ上告中
地裁、高裁判決の10個の判決のうち、原告(朝鮮学園)が勝訴したのは、大阪地裁判決のみであった。 特に大阪地裁判決は、原告側の主張を全面的に認めた判決であり、その内容は画期的であったといえる。
大阪地裁判決について、
また大阪高裁判決をはじめとしたその他の判決については、別の記事で整理したいと思います。
高校無償化法施行に至る経緯
「すべての意志ある若者が教育を受けられるよう、高校の実質的無償化を開始します。国際人権規約における高等教育の段階的な無償化条項についても、その留保撤回を具体的な目標とし、教育の格差をなくすための検討を進めます。」
高校無償化法案が表にでた際は、法律の趣旨からも外国人学校にも適用され、朝鮮学校もその対象となることは容易に予見された。
しかし、その後、
2010年2月21日、中井拉致問題担当大臣が、拉致問題を理由に朝鮮学校を無償化の対象から外すことを川端文科大臣に要請。
2010年2月23日、産経新聞「朝鮮学校無償化排除へ知恵を絞れ」(主張)
2010年3月12日、橋下徹 元大阪府知事の「北朝鮮は不法国家」などを発言
初期の段階から、朝鮮学校を除外する動きが現れる。
高校無償化法の趣旨・構造と不指定の経緯
同法の目的は、
「高等学校などにおける教育に係る経済的負担の軽減を図り、もって教育の機会均等に寄与すること」(第1条)
とあり、戦後初めて各種学校に位置付けられていた外国人学校に通う生徒にも、日本国家が平等に支援金を支給するという制度であった。
そして、2010年5月26日に「高等学校等就学支援金の支給に関する検討会議」を設置し、同年8月30日、「高等学校の課程に類する過程を置く外国人学校の指定に関する基準等について」という報告において、
「外国人学校の指定については、外交上の配慮などにより判断するものではなく、教育上の観点から客観的に判断すべきである」ということが法案審議の過程で明らかにされた政府の統一的見解であった。
にもかかわらず、
2010年11月に朝鮮半島で発生した延坪島の砲撃事件に関連して、日本政府は朝鮮学校への審査手続きを停止。
その後、2011年8月29日、菅元首相によって審査停止の解除がなされたが、審査結果が出ない状態が続いた。
その後、2012年12月26日、第二次安倍内閣が発足し、
そのわずか二日後の12月28日、下村博文文科大臣(当時)は、記者会見において、「朝鮮学校については拉致問題に進展がないこと、朝鮮総聯と密接な関係にあり、教育内容、人事、財政にその影響が及んでいることなどから、現時点での指定には国民の理解が得られない」として、朝鮮学校が適用される根拠となる、省令(ハ)削除のパブコメを始めた。
そして、2013年2月20日、下村文科大臣は、朝鮮学校に対して、「(ハ)規定を削除したこと及び規程第13条に適合すると認めるに至らなかった」との理由によって不指定処分を行った。
それに対して、朝鮮学園側は各地において裁判を起こしたという経緯です。
次回は、経緯をもとに、高校無償化崔弁で問われるべき本質的事項について、書きたいと思います。