【植民地主義論!】エメ・セゼール 超明快痛快植民地支配批判 ①
アンニョンハシムニカ。
ようやく、「植民地主義論」です。
温めに温めました。
超一級品の植民地主義批判です。
必読中の必読。衝撃の連続です。
特に「植民地主義論」は、70頁ほどの論考ですが、不朽の名作です。
こういった書籍が広まらない、なかなか翻訳されないところに日本の知性の退廃がみえます。
エメ・セゼールは、フランス領マルティニック島に生まれた詩人、作家、政治家です。
植民地支配とは何か?
そこはどういう世界か?
どこに問題があるのか?
植民地主義批判の部分に絞って、内容ざっくりとまとめると、
・植民地支配、植民地主義は野蛮の極みである。
・植民地支配とは、人類史上類のない不正義である。
・罪のない植民地支配などない。
・ナチスの罪と植民地支配の罪は同類である。
・資本主義の彼方にはナチズムがある。
・ナチズムが生まれる以前から、資本主義は植民地という野蛮、重罪を犯している。
「植民地化と文明化のあいだには無限の隔たりがある」
「ヨーロッパは、人類社会に対して、歴史上もっともうず高く着き重ねられた死体の山に責任を負わなければならない」
「植民地政策には、ヨーロッパ自身の破滅が内在している」
セゼールの論考は、詩的で鮮やかです。
挑発的で明快です。
何度でも読む価値のある重みがあります。
セゼールのヨーロッパに対する強烈な批判、もちろん日本にもあてはまります。
全く同類の罪。野蛮さ。加害の歴史。
以下、内容、気になった部分をそのままピックアップします。
自らが育んだ「ナチズム」
ヨーロッパの袋小路
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「ナチズムはヨーロッパが育み、その責任は自分たちにある。」
「彼(ブルジョアジー)がヒトラーを罵倒するのは筋が通らない。」
「ヒトラーの罪自体、つまり人間に対する罪、人間に対する辱めそれ自体ではなく、白人に対する罪、白人に対する辱めなのであり、それまでアルジェリアのアラブ人、インドのクーリー、アフリカのニグロにしか使われていなかった植民地主義的やり方をヨーロッパに適用したことなのである。」
「ヨーロッパのえせヒューマニズム」
植民地主義学者の欺まん、罪
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「われわれが希求するのは平等ではなく支配である。」
「必要なのは人と人との不平等を廃絶することではなく、それを拡大し、一つの法たらしめることである。」
「未開諸民族の無能、怠慢、怠惰」
植民地化とは?
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「暴力、蛮行、残虐、サディズム、苦役、
威嚇、警察、課税、略奪、強姦、文化強制、
蔑視、不信、高慢、尊大、粗野、
思考力を奪われたエリート、堕落した大衆」
「植民地には、いかなる人間的接触もなく、あるのは支配と屈従の関係だけ」
「植民地化=物象化」
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「宗主国の人間=支配者」「植民地の民衆=生産のための道具」
「中身の抜きとられた社会」
「踏みにじられた文化」
「蝕まれた制度」
「奪いとられた土地」
「じゅうりんされた宗教」
「壊滅させられた芸術」
「持続的な経済の破壊」
「抹殺された膨大な可能性」
日本が台湾で、朝鮮で、中国で、アジアで何をしたのか?
戦後も変わらずに反省せずに経済侵略、支配をおよぼしていった(およぼしている)ことをどのように考えるか。
これから日本が進もうとしている方向に何があるのか。
歴史認識の問題であり、現在の問題でもあります。
もっと広く読まれるべき一冊だと思います。
絶版です。古本屋で見つけた場合は即買い物です。
書きたいこと、紹介すべきことはまだまだあります。
続編に乞うご期待。
(黄貴勲)
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