留学同大阪ブログ

在日朝鮮人大学生・専門学校生の団体です。在日コリアン学生、歴史、文化、教養

【靖国問題! 植民地支配責任、戦争責任、戦後責任①】 本部学習会振りかえり

アンニョンハシムニカ。

 

本部学習会振り返り。

靖国問題

 

「宗教と政治」というテーマで、靖国問題をとりあげました。

内容をここでまとめたいと思います。

宗教をテーマにしましたが、戦争責任、戦後責任、植民地支配責任のほうへと重点がいってしまいました。

 

高橋哲哉靖国問題』 ちくま新書

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を参考図書にしました。

今年度の学習は、一冊基本となる書籍を決めて行うスタイルでやっています。

 

靖国問題』。すごくいい本だと思います。

問題の取り上げ方、切り口、論の展開の仕方が明解です。

 

第一章 感情の問題

第二章 歴史認識の問題

第三章 宗教の問題

第四章 文化の問題

第五章 国立追悼施設の問題

 

 

という構成です。

個人的には、1章から2章の流れが興味深かったです。

 

靖国神社は、亡くなった日本の軍人の戦死の悲哀を幸福に転化していく装置であった。

亡くなった軍人を「追悼」するのではなく「顕彰」する。

 

「当時の日本人の生と死そのものの意味を吸収しつくす機能を持っていた。」

「戦死者が顕彰され、遺族がそれを喜ぶことによって、他の国民が自ら進んで国家のために命を捧げようと希望するようになることが必要であった。」

 

そのようなシステムが作られ、一章、感情の問題

日本の軍人、軍属として亡くなった方の遺族の感情の問題と、アジアなど被害者やその遺族の感情の問題がぶつかる。

 

そこで二章、歴史認識の問題

それを「どっちもどっち」とか、「それぞれ立場があるよね」で終わらせるのではなく、だからこそ歴史認識が重要だということ。だからこそ、日本が行った植民地支配、戦争がどのようなものであったのかということへの理解が重要である。

 

もちろん、明治維新から、日清戦争日露戦争という時代から。

まさに朝鮮への支配を強めていく時代。

求められるものは感情の調停ではなく、歴史と向き合うこと。

 

歴史認識、価値判断が求められる。

 

 

そして、靖国神社がその中でどのような思想によってどのような役割を果たしたのか。

 

靖国神社は、大日本帝国軍国主義の支柱であった。」

靖国信仰は、天皇その人をほかならないとされた国家を神とする宗教」

 

靖国神社の存在とその思想は、明治維新日清戦争日露戦争15年戦争といった日本の戦争を「栄光の戦争」、「自衛戦争」と規定し、そので亡くなった軍人を英雄として顕彰するものである。

 

台湾植民地支配、朝鮮植民地支配も入る。

日本が台湾、朝鮮を植民地支配していく中で、日本の支配に抵抗し殺された人たちは、「蛮害」、「凶蛮」、「暴徒」、「匪賊」という語で表される。

 

その中で、日本軍は台湾、朝鮮の民衆を「ことごとく殺戮」(日本軍総司令部の表現)してきた。朝鮮においては、甲午農民戦争時の虐殺、義兵やその協力者への虐殺など。

 

靖国の思想とは、究極の植民地主義思想といえる。

 

靖国神社の問題は、外交上の問題であったり、宗教(政教分離)の問題として取り上げられることが多いですが、まず何より歴史認識の問題、思想の問題であると思います。

 

本書でもそこに一番の重点が置かれているように感じました。

 

そして、宗教と政治(経済)の問題。

やはり、資本主義の問題が必ず現れます。

 

なぜ、靖国神社のような存在が必要であったのか。

軍事化と支配の拡大という政治権力の意図が背景にあり、そのためのナショナリズム、「国のために喜んで死ぬ」システムが必要であった。 

 

そうした政治権力の意図の背後には必ず独占資本の意図があります。

まさに明治の時代、それが膨張しアジア侵略へと突き進んだ日本の歴史と向き合う上で、不可欠な視点ではないでしょうか。

 

やはり、またここでも「資本主義」が出てきます。

そして、それは現在も続いています。

 

筆者も言う通り、

靖国神社は旧帝国のイデオロギーがそのまま生き続けている場所なのである。」

 

②に続く

 

(黄貴勲)