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大阪府・大阪市、朝鮮学校補助金裁判判決について

補助金判決から約3カ月たちましたが、朝鮮高級学校無償化裁判判決を前に以前書いた文章を掲載します(『留学同通信』に掲載)。

 

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2017年1月26日、「大阪補助金裁判」の判決が言い渡された。

 裁判所は、大阪府大阪市による補助金交付停止措置は、違法ではないと判断した。つまり、原告(大阪朝鮮学園)側の敗訴である。

 

 裁判所が下した結論の理由としては、

 ・補助金は、憲法や諸条約による権利ではなく、贈与にすぎない

 ・大阪府大阪市が要綱を改訂したことは、裁量の範囲内である

 ・要綱改訂は、朝鮮学校を狙い撃ちしたものとはいえない

 ・総連主催下に、迎春公演に参加していたという疑うに足る状況にあった

 ・補助金交付には、一定の政治的中立性が必要である

 

 ということがあげられ、補助金受給は「権利ではない」と述べた上、補助金が停止された結果として朝鮮学校の運営が厳しくなっても「やむを得ない」、とまで言った。

 結果的に、大阪府大阪市側の主張を全面的になぞった判決であった。裁判所は、補助金の権利性を否定し、行政の行ったことにそのまま追認した。そして、憲法や法の一般原則、国際人権条約などを全く無視した。独立しているはずの司法が、人権や法律・行政の原則などを無視し、国家権力・行政権力にへつらい、裁判官が政治の顔をうかがい自己保身に走った何の意味もない最悪の判決であった。裁判所は何も考えず、裁判官としての良心も人間としての良心も捨てて権力に歩み寄った。

 

 報告集会で、日本人の大学教員が、「この判決は、日本の良心の敗北であり、日本の民主主義の敗北である。」とおっしゃったが、今回、日本が国を挙げて、立法・行政・司法が一体となって朝鮮学校を潰そうと策動していることがはっきりとした。

 国家、大阪府・市が朝鮮学校に対して脅迫している内容は、朝鮮民主主義人民共和国との関係を切れ、朝鮮総連との関係を切れ、日本の教育に沿った教育を行え、ということである。そこには、在日朝鮮人が持つ歴史性・政治性を抹消し、侵略・植民地支配といった日本が抱える過去の悪しき行為の刻印を消し去り、これからもう一度侵略・支配の道を歩もうとする日本の支配層の本領がある。

 原告(朝鮮学園)は、最終書面の「適正かつ公正に判断されるべき本質的事項」として、

 

朝鮮学校とそこで学ぶ子どもたちは、日本国家による朝鮮半島への植民地支配という歴史的経緯を有する歴史的存在であること

②本件訴訟は、憲法訴訟であり、国際人権訴訟であること

大阪府・市の助成事業は、歴史的経緯や教育の権利という観点から実施されてきたこと

④特定の政治家により朝鮮学校が一方的かつ唐突に改訂要綱をつきつけられ、排除されたこと

補助金の不交付により、朝鮮学校で学ぶ子どもたちの権利が著しく侵害され、差別を受けている

ということをあげた。

 

 私たち在日朝鮮人が堅持すべき姿勢は何か。

補助金をもらうためなら肖像画を下せばいい」とか、「日本の教育課程に沿った教育をすればいい」とかではない。

 自分たちの自主的な民族教育を作りあげ磨きをかけること、それだけである。

 日本の国家・行政による暴力は、在日朝鮮人の民族自主、自決権を侵害し、同胞社会を分裂させ、自分たちの都合の良いように支配するためのものである。そのような相手に対して妥協したところで何も得るものはない。いくらでも要求をつきつけられ、自ら権利を放棄させられ、朝鮮人としての、人間としての尊厳を骨抜きにされていくだけである。

 そして何より、自分たちの闘いの勝敗は日本の裁判所などが決めるものではない。自分たちが朝鮮人としての尊厳をもって自主的に生きているか、そして、志をともにする同胞大衆と支持者が自分たちの周りにどれだけいるか。そこにこそ、民族教育の意義がある。

(黄貴勲)