「朝鮮学校差別反対!全国大学生行動」スタート集会③ 李春熙弁護士の発言より
前々日、前日に続いて。
「朝鮮学校差別反対!全国大学生行動」スタート集会について。
パネルディスカッションのもう一方、弁護士の李春熙さんの発言より。
「在日朝鮮人運動の中の裁判闘争」というテーマで、朝鮮学校高校無償化裁判の判決内容を中心に、法律家としての話、そして在日朝鮮人運動の中での裁判闘争について話していただきました。
その内容として、特に9月13日に出された東京地裁での判決について。
判決は論理性の欠いた不当判決・論理破たん判決であったということが述べられました。
元々の政府見解では、明確に「外交上の配慮により判断すべきものではない」と言っていたにもかかわらず、下村博文文科大臣が政治的外交的配慮により朝鮮学校を対象から外すという方針を持っており、それに基づいて結果ありきで省令を改正したということが、裁判の審議中、政府の内部文書からもわかった。
つまり、外交的政治的理由で狙い撃ちであからさまに朝鮮学校を排除したことが裁判の中で明らかになった。
にもかかわらず、裁判所は、国家を救済することに苦心した。
「不合理とは言えない」「(不当な支配を受けている)疑いがある」としながら、「政治的外交的理由から不指定処分をしたものとは認められない」とまで言った。
裁判所は、論理が破たんしていることを知っていながら国を救った。東京地裁の田中裁判長は判断をせず、ひたすら自己保身に逃げた判決を出した。
さらには、結審直前の裁判長の交代という不可解な出来事があった。
審議の過程を何も知らない田中裁判長が送られ、機械のように国の意向を忖度し、国家権力の奴隷としての判決を出した。裁判所は極めて政治的な場であり、自らの出世のために国を勝たせることもいくらでもあり、想像力のない裁判官だけが残っていくという仕組みも含めて。
そのように、東京地裁の判決がいかに論理のなく、裁判所の使命を放棄した、めちゃくちゃなものであったかということをわかりやすくお話いただきました。
さらに、裁判は、事実を記録し歴史に残していくことが重要であり、敵の腹の中と卑劣さも明らかにすることも重要であると。
最後に、
「1948年4・24の時のように、我々は再び県庁・府庁を包囲することができるのか?」という問いかけが印象的でした。
裁判が注目されていてはいけない。その前に政治や市民の力で、運動の力で解決されなければならないと改めて感じました。
(黄貴勲)
「朝鮮学校差別反対!全国大学生行動」スタート集会② 金有燮先生の発言より
前回の続き、9月24日に行われた
「朝鮮学校差別反対!全国大学生行動」スタート集会にて
シンポジウム『朝鮮学校差別とは何か?~その本質を問う』
証言映像についで、シンポジウムが行われました。
まず、千葉朝鮮初中級学校の校長であられる金有燮先生から
千葉朝鮮初中級学校の現状から、自分たちのこれからの運動の課題を力強くお話いただきました。
特に対外活動から、千葉市長が初めは一見進歩的な姿勢を示しながら、国家の顔色を見て補助金を打ち切ったこと。その権力の意向に沿って外国人学校地域交流を共に行ってきた地域の学校からも交流事業を拒絶されたこと。
千葉市は、国家間の問題と教育の問題を関連付けることで、国際交流を無くし、子どもの表現の自由を攻撃するという卑劣な手法を用いた。
その状況に対して、同胞や日本人の支援者による支援があり、そうした輪をもっと広げていかなければいけないということを話されました。
その中で、多く同胞、日本人、南北同胞たちが抗議の意思を表示し、緊急集会・南北朝鮮の新聞への掲載・街頭宣伝活動・様々な方からの学校への寄付・各地より学校への応援メッセージと千葉市への抗議文の送付など、連帯の運動が具体的に拡がっていった経験について、信念と「情」のつながりによって運動が必ず切り開かれていくというお話をいただきました。
そして最後に、
「当たり前の権利は必ず勝ち取らなければならないが、朝鮮学校の基本は自主自立。」「そうして1世2世は自分たちの力で朝鮮学校を建て守ってきた。」「補助金などに頼らなくても朝鮮学校は運営できなければならない!」という、あらゆる差別・弾圧の中を生きてきた在日朝鮮人としての姿勢を表明されたことが非常に印象的でした。
「教員が『苦しい』と放棄してしまえば、明日にでも学校を閉めなくてはいけなくなる。」という、本当に厳しい財政状況の中、朝鮮学校教員の方々の強い信念で学校が維持されていることが伝わりました。
「このまま私たちが死ねば、この世の中で正義と真理はどうなるのか?」
という言葉が胸にささりました。
(黄貴勲)
「朝鮮学校差別反対!全国大学生行動」スタート集会①
2017年9月24日、東京にて、
「朝鮮学校差別反対!全国大学生行動」スタート集会が行われました。
朝鮮学校高校無償化裁判の広島と東京での不当判決を受け、これまで行ってきた運動をより一層強く繰り広げようと、「日本の大学に在籍する在日朝鮮人学生連絡会」の主催のもと行われた集会。
4・24教育闘争当時の経験についての証言映像、
シンポジウム『朝鮮学校差別とは何か?~その本質を問う』、
そして、行動についての提起と各地の学生からの報告がありました。
4・24教育闘争の証言では、当時その現場にいて、日本の権力の銃弾に倒れた金太一少年の姿を間近で見た方のお話でした。
解放後の在日朝鮮人にとって朝鮮学校がどのような存在であったか、日本とGHQが朝鮮学校に対してどのような弾圧を行ったか、さらに1948年4月24日と26日の3万人が大阪府庁前に集まった闘争の様子についての話。
金太一少年が銃弾に倒れたのを間近で見た時の話、どのように打たれ、どのように倒れたかという話聞くのが本当につらいものでした。日本の警察が放水と銃弾で朝鮮人を攻撃し惨殺した様子。
ただし、それは単なる悲劇の歴史ではなく、金太一少年が、在日朝鮮人が、朝鮮学校を守るために命懸けで闘った誇るべき歴史であるということを感じました。
最後に、在日朝鮮人の民族教育の正当性について強く語られ、そして、その歴史を次の世代が引き継いでほしいという想いを話されました。
現在でも各地で闘争が繰り広げられ、大阪でも毎週火曜日に大阪府庁前で朝鮮学校に対する補助金の再開と高校無償化適用を求める「火曜行動」を毎週行っています。
しかし、1948年に3万人が府庁前に集まった闘争の精神を引き継げているのだろうか。
現在朝鮮学校が潰されようとしている状況の中で、同じような気持ちで立ち上がり、声をあげられているだろうか。
色んな口実をつけて自分たちの問題であるにもかかわらず逃げていないだろうか。
改めて、自分の思想、生き方、生活、実践、運動について猛省させられる証言でした。
(黄貴勲)
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